病原菌の種類と抗生物質剤

発病すると難防除、予防で対策『細菌性病害』

細菌性病害は一度発病してしまうと防除することが難しいものです。細菌病の被害から作物を守るためにはどうすればいいのかを考えてみようと思います。

作物によって発病する病気は違いますが病徴やその進展状況から、いち早く病原細菌を診断して、防除対策を講じることが重要です。

細菌病徴

萎凋徴、腐敗、斑点、奇形、枯損、花木類での増生 等

これらの病徴は、病原細菌の種類が異なり、被害は野菜の病気に対する抵抗性や発病環境によって大きく変化します。

主な細菌病害

【水稲】白葉枯病・もみ枯病 
【麦類】黒節病・オオムギ穂焼病
【ジャガイモ】青枯病・輪腐病・軟腐病・そうか病
【豆類】ダイズ葉焼病
【野菜】青枯病(ナス・トマト・イチゴ)・かいよう病(トマト)・軟腐病(各種野菜)・黒腐病(アブラナ科)・花蕾腐敗病(ブロッコリー・カリフラワー)・斑点細菌病(キュウリ・レタス)・腐敗病(野菜類)褐斑細菌病(ナス・ウリ類)・かさ枯病(インゲン)
【果樹】根頭がんしゅ病(ナシ・バラ・キク)・ミカンかいよう病・モモせん孔細菌病
【草花】キク青枯病・カーネーション萎凋細菌病

代表的な作物を記載しましたが、様々な作物に細菌病害があります。

白菜 黒斑細菌病
キャベツ 黒腐病
レタス 斑点細菌病
ナス 褐斑細菌病

【細菌の生態・増殖条件】

細菌性病害の厄介な所は、条件が揃うと細菌は対数的に増殖し、糸状菌よりも単純で小さい生物であるため増殖速度が早いのが特徴です。そのため、発病する前に銅剤や抗生物質、微生物農薬を使用し予防防除を徹底することが大切になります。発病してからの治療は困難な病害です。

菌の種類にもよりますが、高温(75℃~)条件以外の低温(0℃以下)や乾燥(湿度50%以下)では菌は減少することがあっても、死滅することはありません。

細菌は土壌中で5年くらい生存し伝染します。被害植物の残渣が伝染源となり、連作により多く発生してしまいます。(菌密度が高くなる)

※被害が出てしまった圃場の場合は、収穫後に残渣分解資材「分解ヘルパー」や「酵素でくさーる(JA取扱い)」などを施用し病原菌の住処(被害株)を早めに分解してなくすことで罹病リスクを減少することも有効です。

病気発生メカニズム

病気にかかる体質をもった作物(素因)、それを侵す病原菌(主因)、病気の発生に好適な環境条件(誘因)が重なり合った時に初めて病気が発病します。

予防散布をすることにより、病原菌(主因)そのものを『減らす』ことが重要です。

細菌病害は、風が強い時や雨の後、管理作業で葉に傷ができた後に感染し、一斉に(菌の増殖により)発病することが多いです。

ここで一番重要なことは防除の基本は菌密度を一定以下に保つことです。

 糸状菌と細菌の増殖スピード

細菌の増殖スピードはものすごく早く対応が遅れると被害が大きくなることもあります。

細菌病対策 (抗生物質系薬剤+銅+微生物殺菌剤)

植物性細菌病において抗生物質系薬剤(5成分)が対策として使用されております。抗生物質以外の成分として銅(有機銅・無機銅)・プロベナゾール(オリゼメート)や微生物殺菌剤(マスターピース、バイオキーパー※、ベジキーパー※)(※製造中止 登録期限まで使用可)が挙げられます。

※微生物殺菌剤は、耐雨性に優れており台風や長雨時の時にお勧めです。また、収穫前日登録のなので収穫日数を気にせずに使用することができます。

抗生物質剤(5成分)

〈有効成分〉

  • オキシテトラサイクリン
    • リボソームのサブユニット30Sに結合し、タンパク質合成を阻害します。
  • カズガマイシン
    • m-RNAと30sサブユニットに作用し、合体を阻止、栄養補給を阻害します。
  • ストレプトマイシン
    • トレハラーゼ(酵素)を阻害し、グルコース(ぶどう糖)栄養源成分の生成を阻害します。
  • バリダマイシン
    • トレハラーゼ(酵素)を阻害し、グルコース(ぶどう糖)栄養源成分の生成を阻害します。
  • オキソニック酸
    • 細菌が持つDNAジャイレースを阻害し、DNAトポイソメラーゼ(二本鎖DNAの結合・分離酵素を阻害します。)

まとめ

防除の基本は菌密度を一定以下に保つこと!

発病の要因となる病原菌自体を減らし、密度を低く抑えることが重要になります。

抗生物質剤を適切に使用し、銅剤・抵抗性誘導剤・微生物殺菌剤と組み合わせて上手に使用することで細菌病病害発生を事前に防ぎましょう。

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