(除草剤編)『HRACコード』でローテーション防除名人に
同じ除草剤を使い続けると、生えてくる雑草(残る雑草)が決まってきてしまいます。除草剤にも、草に対して得意不得意があるので、成分を変えることにより生えにくくする工夫をしてみてはいかがでしょうか。
HRACコード | 作用機構 | 主な農薬 |
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1 | アセチルCoAカルボキシラーゼ(ACCase)阻害 | アフターエイドフロアブル、クリンチャーEW、セレクト乳剤、ナブ乳剤、ハイカット、ポルトフロアブル、ワンサイドP乳剤 |
2 | アセト乳酸合成酵素(ALS)阻害 (アセトヒドロキシ酸合成酵素(AHAS)阻害) | アトカラジャンボ、カウンシルエナジー、ゲパード、シバゲン、ハイカット、パワーガイザー液剤、ハーモニー75水和剤、ワンホープ乳剤 |
3 | 微小管重合阻害 | アグロマックス水和剤、ガレース乳剤、クレマートU粒剤、ゴーゴーサン細粒剤F、コンボラル、トレファノサイド粒剤 トレファノサイド乳剤 |
4 | インドール酢酸様活性(合成オーキシン) | ザーベックスSM粒剤、2-4-D「石原」アミン塩、MCPP液剤 |
5 | 光合成(光化学系Ⅱ)阻害 – セリン264バインダー | カーメックス顆粒水和剤、シマジン、ハイカット、ハイバーX粒剤、ロロックス |
6 | 光合成(光化学系Ⅱ)阻害 – ヒスチジン215バインダー | アクチノール乳剤、クリンチャーバスME液剤、バサグラン液剤、バサグラン粒剤 |
9 | 5-エノールピルビルシキミ酸-3-リン酸(EPSP)合成酵素阻害 | エイトアップ、カルナクス、草枯らし、サンフーロン、サンダーボルト007,タッチダウンIQ、ラウンドアップマックスロード |
10 | グルタミン合成酵素阻害 | バスタ液剤、ザクサ液剤 |
12 | 白化:カロチノイド生合成経路のフィトエン不飽和化酵素(PDS)阻害 | ガリル水和剤、ガレース乳剤 |
13 | 白化:1‐デオキシ-D-キシルロース-5-リン酸(DOXP)合成酵素阻害 | |
14 | プロトポルフィリノーゲン酸化酵素(PPO)阻害 | イネキング、ゲパード、サンダーボルト007 |
15 | 超長鎖脂肪酸合成(VLCFAs)阻害 | カウンシルエナジー、デルカット乳剤、フィールドスターP乳剤、ラッソー乳剤 |
18 | DHP(ジヒドロプテロイン酸)合成酵素阻害 | アージラン液剤 |
19 | オーキシン移動阻害 | |
22 | 光化学系Ⅰ電子転換 | プリグロックスL |
23 | 有糸分裂/微小管形成阻害 | ガリル水和剤、クロロIPC「石原」 |
24 | アンカップリング(膜破壊) | |
27 | 白化:4-ヒドロキシフェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼ(4-HPPD)阻害 | アトカラジャンボ、アルファード液剤、イネキング、カウンシルエナジー、ゲパード、ハイカット、ブルーシア |
29 | 細胞壁(セルロース)合成阻害 | カソロン粒剤 |
30 | 脂肪酸チオエステラーゼ阻害 | |
31 | セリン‐スレオニンプロテインホウファターゼ阻害 | |
32 | ソラネシルニリン酸合成酵素阻害 | |
33 | ホモゲンチジン酸ソラネシルトランスフェラーゼ阻害 | サンアップC 1キロ粒剤 |
34 | リコペンシクラーゼ阻害 | |
0 | 不明 | ゲパード、デゾレートAZ粒剤、モゲトン粒剤 |
2種混合、3種混合、4種混合 水稲用除草剤は混合剤が多いです。
ワンポイント
- 長年、同じ除草剤を使用していると、生えてくる草が決まってくることがあります(抵抗性雑草の発生や優占雑草の変化や土壌微生物相の変化など)ので、他の除草剤とローテーションを組むことが好ましいです。
- 土壌条件と除草剤の種類・散布量
粘土含量や腐植の少ない土壌ほど、除草剤を吸着する力が弱いため、非選択性除草剤では作物に薬害を与える危険性が大きくなります。 - 茎葉処理剤を除いては砂土で使用可能な除草剤は非常に少なく、砂壌土においても使用できない除草剤があります。
- 畑地では、土性や腐植含量によって、薬害に差があるのみでなく、除草効果にも差がみられるので、埴土や黒ぼく土壌では除草剤散布量を多くし、逆に砂壌土では散布量を少なくしなければなりません。
- 水田では生わらの投入などによる薬害の助長が問題になっているので、土壌が異常還元をきたさないようにするとともに、除草剤の適正な使用に努める必要があります。
- 土壌処理剤を使用する時は、傾斜地や砂質土壌では薬剤の流出による薬害のおそれがあるので注意してください。
- 「農耕地用」と「非農耕地用」がありますので、使用する際はよく確認してから処理してください。
雑草があまりに多すぎると除草は困難になります。「埋土種子」が多い圃場では除草しても次から次へ雑草が出てくるため、毎年雑草をきちんと防除することが大切になってきます。(休耕地だった場所や草を生やして種がたくさんこぼれた場所などは土壌消毒をすることも効果的です)
伸びてしまった雑草は、薬散量も多くなる上、効果も落ちますのでなるべく雑草が生える前、雑草が小さい時に早めの一手を打つことをお勧めします。雑草の種を落とさないようにしていくだけでも徐々に草は減っていきます。
【参考】
・殺虫剤,殺ダニ剤(殺虫剤(IRAC) (PDFファイル)(152KB) : 農薬工業会HP農薬情報局参考)
・殺菌剤 (殺菌剤(FRAC) (PDFファイル)(178KB) : 農薬工業会HP農薬情報局参考)
・除草剤(HRAC)外部リンク (農薬工業会(https://www.jcpa.or.jp/)のホームページに移動します。リンク先のExcelファイルを参考にしてください。)
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