根こぶ病菌を直接たたく『オラクル®顆粒水和剤』
日産化学工業株式会社より、根こぶ病・土壌病害用殺菌剤『オラクル®顆粒水和剤』(FRACコード:21)が発売されております。
特徴
・根こぶ病菌の休眠胞子を眠らせたままにせず、作物に感染する前に直接、遊走子に作用します。
・休眠胞子から出てきた遊走子を殺菌し、土壌中の菌密度を低減させます。
・土壌中の菌密度を低減(使用していない場合との比較)、根こぶ病の発生を約50日予防します。
・より省力的で低コストな定植前の灌注処理も可能です。
・土壌中の菌密度が高い圃場では、セル苗灌注と、全面土壌混和との体系処理がお薦めです。
・ばれいしょの粉状そうか病、ミョウガ・生姜・葉ショウガの根茎腐敗病、稲の苗立ち枯れ病(ピシウム菌)、ムレ苗防止等にも優れた効果を示します。
根こぶ病発生メカニズムと防除対策
根こぶ病が発病する温度は9℃~30℃、特に20℃~24℃の時期に発病しやすいとされています。
休眠胞子は、次回アブラナ科の作物が定植されるまで土壌に留まり続けます。圃場としての防除を行わないと根こぶ病が発生し続けてしまいます。
生育途中に感染した場合、側根に小さなこぶが多数形成されます。こぶによって根の維管束が圧迫された結果、土壌から水分・養分を十分に吸収できず、日中に葉や茎がしおれる症状がおきます。朝夕にしおれが回復したとしても、生育の遅れにより結球不足や丈が伸びない等の症状により収量が少なくなったり食味が落ちたりします。
※生育後期に感染した場合、こぶが形成される量が少なく、出荷に支障がなく収穫できる場合もあります。
土の種類や土壌の物理性、土壌中の菌密度が発病の主要因となるため、それぞれに下記のような対策を打ち、発病を抑える必要があります。
しかし、このいずれかの対策だけでは不十分な場合があるため、これらを組み合わせた総合的な防除を行うことが重要です。
密度の低い圃場では省力的で低コスト防除が可能
密度の高い圃場では「体系処理」がおススメ
根こぶ病が発生しにくい土壌を作り、しっかりと菌量を低減させるのがポイント
根こぶ病は防除がとても難しい病害です。
根こぶ病はpH4.6~6.5の酸性土壌で発生しやすく、特にpH5.0前後が発病に最適な酸性度といわれています。一方、土壌液性がpH7.0以上であれば、根こぶ病がほとんど発生しません。そのため、pH7.0を目標に土壌のpH調整を実施します。リン酸が過剰でも発生が高くなる傾向があります。
土壌の酸性度を矯正するには、炭酸カルシウムやケイ鉄・消石灰を施用するのが一般的です。ケイ鉄は炭酸カルシウムや消石灰と比べてコストが高いですが、1度施用すると矯正効果が10年程度継続するといわれています。
上手な使い方
土壌の水分が多すぎると十分に混和できないため、土を握ってすぐ崩れる程度の状態で施用します。また、発病度が高い圃場の場合は、土壌混和と育苗段階での灌注を組み合わせると根こぶ病の予防効果が高くなります。
根こぶ病とオラクル・解説動画集
効果・薬害等の注意
・灰硫黄合剤やボルドー液等アルカリ性農薬との混用は避けてください。
・ ぶどうで使用する場合、散布量は、対象作物の生育段階、栽培形態及び散布方法に合わせて調節してください。
・ 根こぶ病発病の激しい圃場では苗灌注処理だけでは効果が劣るので、病原菌の汚染程度が高い連作栽培地域での使用は避けるか土壌処理剤と組合せて使用してください。
・ みょうが、しょうが、葉しょうが、いちご、たばこに使用する場合、本剤は予防効果主体の剤なので、発病前又は発病初期に処理してください。
・かぶ、非結球あぶらな科葉菜類、キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、はくさいのは種前又は定植前に2回土壌混和する場合は、使用間隔を2ヶ月程度あけてください。
・たばこに使用する場合は、薬液が葉にかからないように散布してください。
・本剤の使用に当たっては、使用量、使用時期、使用方法を誤らないように注意し、特に初めて使用する場合は、病害虫防除所等関係機関の指導を受けることが望ましいです。
・適用作物群に属する作物又はその新品種に本剤をはじめて使用する場合は、使用者の責任において事前に薬害の有無を十分確認してから使用してください。なお、病害虫防除所等関係機関の指導を受けることが望ましいです。
根こぶ病を拡大させないコツ
休眠胞子を含む土壌が風で飛散して、他の圃場でも根こぶ病が発生するケースも少なくありません。種子や農機具・靴底に汚染された土壌が付着して、汚染が拡大することも考えられます。
根こぶ病が発生してしまった圃場で作業した後は、必ず軽トラのタイヤ・農機具・長靴の土を洗い流して、他の圃場に持ち込まないように心掛けましょう。
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