トマト、ミニトマト、なす等の着果促進・果実肥大促進剤。『トマトトーン®』
石原バイオサイエンス株式会社、日産化学株式会社より、着果促進・果実肥大促進をする植物成長調整剤『トマトトーン®』が発売されております。
※「植物成長調整剤」とは、植物の成長や発育をコントロールし、品質や収穫量を上げたり、不良条件下での収穫量を安定させたりするための薬剤です。
特長
- 植物ホルモン「オーキシン」の作用を利用した薬剤であり、トマト、なす等の着果、肥大、熟期を促進します。
- 低温、日照不足などの条件下でも着実に着果させます。
- 初期収穫量の増加が期待できます。
- 石ナス防止にも高い効果があります。 ※石ナスとは、着果しても硬く小さいままで、肥大しない果実のこと。(低温期に発生しやすい)
メカニズム
トマトトーンを使用することにより、作物に疑似受粉をさせることにより着果、果実肥大を促します。
低温時、日照不足など受粉しにくい時期に使用することにより、収穫量を増加・安定させることができます。
※トマトトーン使用(疑似受粉)すると、着果肥大時に種子は形成されるけれど、発芽することのできない種子になる。
使用方法
作物 | 温度 | 希釈倍率 |
トマト・ミニトマト | 低温時(20℃以下) 高温時(25℃以上) | 50倍 100倍 |
なす | ― | 50倍 |
メロン | 低温時(20℃以下) 高温時(25℃以上) | 25倍 〜 100倍 |
しろうり・ズッキーニ | ― | 50倍 |
※トマト・ミニトマト以外では希釈倍数や使用方法が異なりますので、ラベルをよく読んでから使用してください。
ズッキーニに使用した場合、果実の尻部のほうがやや太くなる傾向があるが実用上問題はありません。
気温が低い時期には、人工交配よりやや果実肥大が遅くなる傾向があります。
- 「トマトトーン」を使用する際は、花を手で持ち、スプレーなどに入れた希釈液を花や花房に直接吹き付けます。散布量は、花または花房から薬液が滴り落ちない程度が目安です。
※トマトトーンを使用する際は、成長点や脇芽にかからないように注意してください。
成長点や葉にかかると、芽が分化して脇芽が出る、生育が抑制されて芽が黄化する、葉が葉巻になるなどの症状がでます。
- 気温によって希釈倍率が違いますので暑くなってきたら希釈倍率を薄めて使用して下さい。
※希釈倍率が高いと果実の奇形や空洞化を起こす場合があります。
※2度掛け散布も変形果の原因になるので注意が必要です。
『空洞化』とは、果実の皮の部分が過剰に発達したために、ゼリー状の部分(種子を保護している組織)が果実を満たしきれずに、空洞になってしまった果実です。
『空洞化』は高温時のほか、ホルモン剤の2度掛けや高温度処理をした場合、開花当日など早い時期にホルモン処理を行った場合、日照不足や草勢が強い場合に発生します。
- トマトトーンは、処理後2時間以内の気温が影響するといわれているので、気温を確認してから処理してください。
※ハウス内や夏場に使用する際は、希釈倍率や使用時間を考慮して使用して下さい。
トマト空洞化・変形果(尖り果)軽減対策
【ホルモン処理】
- 処理は、スプレー1回/花房(3~4開花時)
- 濃度は、100~200倍
- 処理時刻は、午前9時まで、もしくは、午後4時以降
- (処理後に2時間程度の高温30℃にあうと空洞化が増加)
※基本的には朝の涼しい時間帯に使用が好ましいです。
- ジベレリン(5~10ppm)を施用
※トマトトーンは2度掛けしないように注意すること。
【養分】
- 強樹勢にならない施肥管理する。
- 極端な肥料の増減を避け、できるだけ分肥する。(ストレス軽減につながる。)
【その他】
- 誘引ストレス など
効果・薬害等の注意事項
- 使用に当たっては、必ず所定の希釈倍数にしたがって、水に溶かして使用してください。
- 同じ花房(花)に重複散布したり、所定濃度以上の濃い液の散布は薬害が生じるおそれがあるのでさけてください。
- 頂芽や幼葉にかかると、その部分が萎縮したようになるので、なるべく花房(花)にのみかかるように噴霧してください。
- メロンの花に噴霧を行う場合、子房だけに噴霧する時は、使用時期にかかわらず人工受粉を併用してください。また、低温時(20℃以下)では希釈倍率を低くし、高濃度で使用してください。
- ズッキーニに使用する場合、生育初期の雄花が少ない時期は結実が不安定であり、十分な効果が期待できないので使用しないでください。
- 使い残りの希釈液は4週間程度までの保存は可能ですが、なるべく早く使用してください。
- 効果の有無は、散布後2~3日すると果梗が太くなり、幼果のつやが増し、非常に発育が早くなるため判別可能です。
- 本剤は植物ホルモン剤であるので、使用時期、使用量、使用方法など誤らないよう注意し、特に初めて使用する場合は病害虫防除所等関係機関の指導を受けるようにしてください。
- 適用作物以外の作物に薬液がかからないように注意してください。
- 他の農薬との混用は行わないでください。
- 散布に使用する容器、噴霧器等の用具は使用の前後によく水洗してください。
安全使用上の注意事項
- アンプルの首部分を割る時は、薬剤が眼などに入らないよう、眼や体から離して取り扱ってください。
- 眼に対して刺激性があるので眼に入らないよう注意してください。
- 眼に入った場合には直ちに水洗し、眼科医の手当を受けてください。
- 使用の際は、農薬用マスクなどを着用してください。作業後はうがいをしてください。
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