昆虫行動制御剤(IBR剤)『コルト®顆粒水和剤』

歩行・飛翔行動を阻害する『コルト®顆粒水和剤』

日本農薬株式会社より、昆虫行動制御剤(IBR剤)『コルト®顆粒水和剤』(IRACコード:9B)が発売されております。

※昆虫行動制御剤(Insect Behavior Regulator)

速効的に吸汁活動を停止させ、歩行・飛翔行動を阻害して作物から離脱させます。また、定着行動を阻害することにより、作物に寄生できないまま死亡させます。

特徴

  • 昆虫の行動を制御するタイプの新しい殺虫剤で、速やかに害虫の吸汁行動に影響を及ぼし、高い摂食阻害活性を示す。
  • アブラムシ類、コナジラミ類、カイガラムシ類などのカメムシ目害虫や、チャノキイロアザミウマなどのアザミウマ目害虫に対して高い効果を示す。
  • 従来の殺虫剤にない作用を有し、有機リン剤、カーバメート剤、合成ピレスロイド剤、ネオニコチノイド剤などの薬剤に対して感受性の低下した害虫に対しても有効である。
  • 天敵や有用昆虫に安全                                     天敵類での影響が少ないため、IPMでの活用に適しています。

効果

吸汁阻害作用は比較的速く発現しますが、死亡するまでには時間がかかります。また、植物体への定位・定着行動に影響を及ぼし、植物体からの離脱・脱落がみられます。加害虫は、絶食状態(飢餓状態)になり、ゆっくりと死に至りますが、その間植物体への加害は抑制されます。

・吸汁できなくなり逃亡します。

・吸汁できなくなり落下します。

浸達性・浸透移行性

葉表から葉裏への浸達性(アブラムシ)は確認されております。浸透移行性は弱いので使用の際はムラの無いよう丁寧に散布してください。

葉菜類(はくさい・キャベツ・ブロッコリー・レタス・非結球レタス)

  • アブラムシに種間差なく安定した効果があり、速効的な吸汁阻止効果を発揮します。
  • アブラムシ類とネギアザミウマの同時防除が可能です。(キャベツ、アスパラガス)

結球前〜結球始期にコルト顆粒水和剤を処理することでアブラムシの作物定着を防ぎ、収穫物の結球内部に残存するアブラムシを生存虫・死骸虫共に低い速度で抑えることができます。

ネギ・タマネギ

  • 既存の薬剤に抵抗性を発達させたネギアザミウマにも有効です。(産雄系統にも効果を示します。)
  • ネギアザミウマ防除剤として独自系統で、ローテーション防除に組み入れやすい薬剤です。
  • ねぎは収穫3日前まで、たまねぎは収穫前日まで使用できるので便利です。

ネギアザミウマの定着・吸汁行動を阻害することで防除効果を発揮します。作物への被害は抑えられますが、害虫が死亡するまでには日数がかかる場合があります。(吸汁阻害は速効的であるが、餓死するまでに数日かかる。)

動画(ネギハモグリバエに対する効果)

動画(ネギアザミウマに対する効果)

天敵・有用生物への影響

  • 本剤のハチ類に対する影響は
    1. 低温期(最低気温15℃以下)に長期にわたる場合があります。
    2. ハチの健康状態によりその程度が異なり、購入後の日数が長期に及ぶと影響期間も長くなる場合尾があります。
  • 露地すいかで使用する場合は、交配期を避けてください。
昆虫類具体的使用方法、影響期間
(コルト顆粒水和剤4000倍)
実施場所・評価方法
ミツバチ放飼期間中は使用しない。散布28日後以降に放飼する。ハウス:トマト(散布後放飼)
セイヨウオオマルハナバチ散布後3日後移行に放飼する。ハウス:トマト(散布後放飼)
クロマルハナバチ散布後5~7日後以降に放飼する。ハウス:トマト(散布後放飼)
スワルスキーカブリダニ散布後14日後以降に放飼する。放飼中に使用する場合は、スワルスキーカブリダニの定着・増殖を確認後(放飼約1か月後)に使用する。ハウス:きゅうり、ピーマン、ししとう
(散布後放飼、放飼後散布)
カイコガ影響なし室内(飼料浸漬法)

注意事項

  • 石灰硫黄合剤、ボルドー液等のアルカリ性の強い薬剤との混用はさける。
  • 散布量は、対象作物の生育段階、栽培形態及び散布方法に合わせて調整する。
  • 本剤は植物体への浸透移行による効果は弱いので、かけ残しのないように葉の表裏に十分散布する。
  • ぶどうの幼果期以降に使用する場合は、果粉の溶脱を生じるおそれがあるので注意する。
  • 西洋なしの品種ル レクチエでは落花後から袋かけ前までの散布については果実に薬斑を生じるおそれがあるので使用をさける。
  • おうとうに使用する場合、果実に汚れを生じるおそれがあるので注意する。
  • ミツバチに対して影響があるので、以下のことに注意する。
    • 1)ミツバチやその巣箱及びその周辺にかからないようにする。無人航空機による散布でそれらに飛散するおそれがある場合には使用しない。
    • 2)受粉促進を目的としてミツバチ等を放飼中の施設や果樹園等では使用をさける。
    • 3)関係機関(都道府県の農薬指導部局や地域の農業団体等)に対して、周辺で養蜂が行われているかを確認し、養蜂が行われている場合は、関係機関へ農薬使用に係る情報を提供し、ミツバチの危害防止に努める。
  • 無人航空機による散布に使用する場合は、次の注意事項を守る。
    • 1)散布は散布機種の散布基準に従って実施する。
    • 2)散布に当たっては散布機種に適合した散布装置を使用する。
    • 3)散布中、薬液の漏れのないように機体の散布配管その他散布装置の十分な点検を行う。
    • 4)散布薬液の飛散によって自動車やカラートタンの塗装等に被害を生じるおそれがあるので、散布区域内の諸物件に十分留意する。
    • 5)散布終了後は次の項目を守る。
      • (a)使用後の空の容器は放置せず、適切に処理する。
      • (b)機体の散布装置は十分洗浄し、薬液タンクの洗浄廃液は安全な場所に処理する。
  • 本剤をばれいしょに対して希釈倍数400倍で散布する場合は、少量散布に適合したノズルを装着した乗用型の速度連動式地上液剤散布装置を使用する。
  • 本剤の使用に当たっては、使用量、使用時期、使用方法等を誤らないように注意し、特に初めて使用する場合には病害虫防除所等関係機関の指導を受けることが望ましい。
  • 適用作物群に属する作物又はその新品種に本剤をはじめて使用する場合は、使用者の責任において事前に薬害の有無を十分確認してから使用する。なお、病害虫防除所等関係機関の指導を受けることが望ましい。

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