作物をカメムシから守る
作物を吸汁して、品質低下に伴い減収につながる可能性があるカメムシは注意するべき害虫の1つです。
前年のスギ・ヒノキの花粉が多かった年は、カメムシの餌となる実が豊富にあり増加する傾向にあります。また、暖冬傾向のため、越冬するカメムシが多くなってきています。
気温が高くなる4~5月以降から、活動が活発になり繁殖していきます。カメムシは産卵期が長く、種類によって年に1~3回成虫が発生します。産卵から成虫までの成長サイクルは約1か月ですが、カメムシの寿命はおおよそ1年であり、生涯のうちに何度も産卵することが知られています。発生したカメムシの種類により幼虫が多く発生する時期が異なります。ほ場に幼虫が目立つようになったら、被害が大きくなる前に早めの防除を行うことが重要です。
作物(果樹・稲・ナス科・ゴマ・オクラなど)や雑草(イネ科・マメ科など)にカメムシが飛来し集まっていないか確認し、見付けた場合は速やかに農薬を散布してください。
カメムシの発育ステージ
参照:愛知県農業総合試験場 環境基盤研究部 病害虫防除グループ あいち病害虫情報
- カメムシの卵は、数十個の卵が集まった『卵塊(らんかい)』として産み付けられます。これらの卵塊はわずか1週間から10日で孵化をします。
- 脱皮を繰り返し30~40日くらいで成虫になります。
- 成虫の寿命はおおよそ1年ですが、寒くなってくると雑草や家屋、作物のすきまなどに隠れ、越冬して暖かくなるころから活動を活発化します。
効果がある薬剤
一般的によく使われている農薬は、1B有機リン系、3Aピレスロイド系(合ピレ)、4Aネオニコチノイド系(ネオニコ)が効果が高く使われております。
作物によっては登録がないものもありますので、必ずラベル等で確認をしてから使用するようにしてください。
IRACコード | 系統 | 農薬名 |
1A | カーバメート系 | ランネート |
1B | 有機リン系 | エルサン・マラソン・スミチオン |
2B | フェニルピロール系 | キラップ |
3A | ピレスロイド系 | トレボン・テルスター・アディオン・アグロスリン・ロディー |
4A | ネオニコチノイド系 | アルバリン(スタークル)・ダントツ(ベニカ)・アクタラ・アドマイヤー・モスピラン |
4C | スルホキシミン系 | エクシード |
9B | (IBR)ピリジン アゾメチン誘導体 | コルト※ |
15 | ベンゾイル尿素系(IGR) | カスケード |
※同じ系統の薬剤を使用し続けると、抵抗を持たれてしまう可能性があります。必ず、ローテーション散布を心掛けてください。
※カメムシが大量発生している時は、5日おきに複数回の散布を行い密度を下げてください。
※コルトは、カスミカメムシ類の登録になっており、他のカメムシに効果が低い場合がありますので注意が必要になります。
※4Cスルホキシミン系のトランスフォームですが、エクシードと同じ成分ですが成分量が違いますのでカメムシに対する効果は低いです。
※15ベンソイル尿素系(IGR)のカスケードは、カメムシの幼虫に効果がありますが、成虫には効果が低いです。なので、カメムシの発生初期や大量発生時に他の薬剤と混用して使用するといいです。
隠れ家(繁殖場所)を減らそう
カメムシは草木や植物が茂っている場所を好んで繁殖します。庭や水田畦畔や畑に雑草(イネ科・マメ科など)が茂っていると、カメムシの隠れ家(繁殖場所)となります。
定期的に除草することにより、カメムシの発生を抑えることに効果的です。意外と落ち葉や枯葉などにも潜んでいるので定期的に片付けることも必要です。
まとめ
- カメムシの発生を確認した時は、早めに薬剤防除をして密度を高めないようにしましょう。
- 発生密度が高い時は、違う系統の薬剤で複数回ローテーション散布をしてください。
- 隠れ家になる雑草は定期的に除草しましょう。