『RACコード』でローテーション防除(殺菌剤)

(殺菌剤編)『RACコード』でローテーション防除の名人に

前回は、IRACコード(殺虫剤)についてでしたが、今回は、FRACコード(殺菌剤)について記載してます。

農薬名が違っても同系統の殺菌剤(例えば、アフェット→パレード→オルフィン 等)があります。FRACコード表を参照して、同系統の殺菌剤を連続散布しないようにしてください。

病原菌は、同じ作用の殺菌剤に繰り返してさらされると耐性菌が増殖しやすくなります。病原菌は生育に好適な条件においては急速に蔓延するので、殺菌剤の防除効果が急に低下して、作物の収量や品質に影響します。異なる作用の殺菌剤とローテーション散布すると、耐性菌の密度を低下させることができます。

また、混合剤は異なる系統の殺菌剤を配合しているため耐性菌が発生しにくくなります。(アミスターオプティ =アミスター+ダコニール、フォリオゴールド=リドミル+ダコニール、ナレート=スターナ+有機銅 等)

耐性菌発生リスクが低い殺菌剤も活用してください。(銅剤や微生物農薬 等)

殺菌剤は、初発前~初発時に予防的に使用することが最も効果的です。初発を的確にとらえた防除を心がけてください。

お気に入りの農薬を長く使うためにも、『RACコード』を気にしてローテーション防除を心掛けてください。

FRACコードグループ名作用機構主な農薬
4(フェニルアミド)PA殺菌剤A:核酸合成代謝リドミル、サブデューマックス
32 芳香族ヘテロ環 A:核酸合成代謝 タチガレン
31 カルボン酸 オキソリニック酸 A:核酸合成代謝 スターナ
52DHODHI殺菌剤A:核酸合成代謝ミギワ
1 MBC殺菌剤 B:細胞骨格とモータータンパク質 ベンレート、トップジンM
10 N-フェニルカーバメート B:細胞骨格とモータータンパク質スミブレンド、ゲッター、プライア、ニバイバーの成分
22 チアゾールカルボキサミド B:細胞骨格とモータータンパク質 エトフィン
20 フェニルウレア B:細胞骨格とモータータンパク質 モンセレン
43 ピリジニルメチルベンズアミド B:細胞骨格とモータータンパク質 ジャストフィット、リライアブルの成分
50 アリルフェニルケトン B:細胞骨格とモータータンパク質クロスアウト、カッシーニ
53ピリダジン類B:細胞骨格とモータータンパク質フセキ
39 ピラゾールカルボキサミド、ピリミジンアミン C:呼吸 ピリカット 、ハチハチ
7 SDHI剤(コハク酸脱水素酵素阻害剤) C:呼吸 モンカット、バシタック、ケンジャ、オルフィン、グレータム、イントレックス、ロンセラー、リンバー、カナメ、ミリオネア、モンガレス、ネクスター、エバーゴル、アフェット、フルーツセイバー、ビブランスの成分、ミラビス、カンタス、パレード
11 Qol殺菌剤(Qo阻害剤)(ストロビルリン系) C:呼吸 アミスター、メジャー、スクレア、ナリア、ジグナムの成分、ストロビー、フリント、オリブライト、イモチエース、ホライズンの成分、ディスアーム、ファンタジスタ
11AQol殺菌剤(Qo阻害剤)(ストロビルリン系)C:呼吸 ムケツ
21 Qil殺菌剤(Qi阻害剤) C:呼吸 ランマン、ライメイ、オラクル
29 C:呼吸 フロンサイド
45 QoSi殺菌剤(QoS阻害剤) C:呼吸 ザンプロ
9AP殺菌剤(アニリノピリミジン) D:アミノ酸及びタンパク質生合成 ユニックス、フルピカ
24 ヘキソピラノシル抗生物質 D:アミノ酸及びタンパク質生合成 カスミン
25 グルコピラノシル抗生物質 D:アミノ酸及びタンパク質生合成 アグレプト、ストマイ、ヒトマイシン、マイシン
41 テトラサイクリン抗生物質 D:アミノ酸及びタンパク質生合成 マイコシールド
12 PP殺菌剤(フェニルピロール) E:シグナル伝達 セイビアー
2 ジカルボキシイミド E:シグナル伝達 ロブラール 、スミレックス
6ジチオラン F:脂質及び細胞膜生合成 フジワン
14 AH殺菌剤(芳香族炭化水素) F:脂質及び細胞膜生合成 リゾレックス
28 カーバメート F:脂質及び細胞膜生合成 プレビクールN
49オキシステロール結合タンパク質阻害 F:脂質及び細胞膜生合成 ゾーベックエンカンティア、ゾーベックエンテクタ等の成分
3 DMI-殺菌剤(脱メチル化阻害剤)(SBI:クラスⅠ)(EBI剤) G:細胞膜のステロール生合成 スコア、トリフミン、モンガリット、ラリー、ルビゲン
17 KRI殺菌剤(ケト還元阻害剤)(SBI:クラスⅢ) G:細胞膜のステロール生合成 パスワード、ピクシオ
18(SBI:クラスⅣ)G:細胞膜のステロール生合成エイゲン
19 ポリオキシン H:細胞壁生合成 ポリオキシン
40CAA殺菌剤(カルボン酸アミド) H:細胞壁生合成 フェスティバル、プロポーズ、ベトファイター等の成分 、レーバス
16.1 MBI-R I:細胞壁のメラニン生合成 ラブサイド、コラトップ、ビーム
16.3 MBI-P I:細胞壁のメラニン生合成 サンブラス 、ゴウケツ
P1 ベンゾチアジアゾール P:宿主植物の抵抗性誘導 アクティガード
P2 ベンゾイソチアゾール P:宿主植物の抵抗性誘導 オリゼメート
P3チアジアゾールカルボキサミド、イソチアゾールカルボキサミド P:宿主植物の抵抗性誘導 ブイゲット、スタウト、ルーチン
P7 ホスホナート P:宿主植物の抗性誘導 アリエッティ
P8イソチアゾールP:宿主植物の抵抗性誘導 ブーン、レシード
27シアノアセトアミド=オキシムU:作用機作不明カーゼード、ブリザード等の成分
36 ベンゼンスルホン酸 U:作用機作不明 ネビジン、ネビリュウ
U6 フェニルアセトアミド U:作用機作不明 パンチョ 、コナケシ
U13 チアゾリジン U:作用機作不明 ガッテン
U14 ピリミジノンヒドラゾン U:作用機作不明 ブラシンの成分
U16 4-キノリル酢酸 U:作用機作不明 トライ
U17 テトラゾリルオキシム U:作用機作不明 ピシロック、ナエファイン
U18 グルコピラノシル抗生物質U:作用機作不明 バリダシン
NC 種々 未分類カリグリーン、ハーモメイト
M1無機銅化合物(求電子剤)M:多作用点接触活性化合物 Zボルドー、コサイド3000等
M2無機化合物(求電子剤)M:多作用点接触活性化合物 サルファー、イオウ等
M3ジチオカーバメート(求電子剤)M:多作用点接触活性化合物 ジマンダイセン、ペンコゼブ、エムダイファー、アントラコール、チウラム、チオノック、トレノックス、モノドクター
M4フタルイミド(求電子剤)M:多作用点接触活性化合物 オーソサイド
M5クロロニトリル(二ロニトリル)M:多作用点接触活性化合物 ダコニール、パスポート
M7ビスグアニジン(細胞膜攪乱剤、界面活性剤)M:多作用点接触活性化合物 べフラン、ベルクート
M9キノン(アントラキノン)(求電子剤)M:多作用点接触活性化合物 デラン
M10キノキサリンM:多作用点接触活性化合物 モレスタン
M11マレイミド(求電子剤)M:多作用点接触活性化合物 ストライド
BM 微生物(生菌または抽出物、代謝産物) BM:複数の作用 機構を有する生物製剤 エコホープ、ミニタン、タフパール、タフブロック、インプレッションクリア、インプレッション、セレナーデ、エコショット、ボトキラー、ボトピカ、バイオワーク、バチスター、アグロケア
NC 微生物 未分類 ラクトガード、マスターピース

※病害虫の防除を行う場合は、化学農薬の使用のみに頼ることなく、耕種的、物理的、生物的な防除対策を積極的に導入して、病害虫の多発生を招かないような圃場環境づくりに努めることが大切です。

病害虫が発生する前に、予防散布を心掛けていただき、キレイな収穫物が出来た場合は『自分は消毒上手』と褒めてあげてください。虫や病気が入ってしまってから慌てて散布しても食害痕は消えませんし、病気も元通りにはなりません。圃場のロスを失くし反収率を上げるためにもローテーション上手になりましょう。

 ・殺虫剤,殺ダニ剤(殺虫剤(IRAC) (PDFファイル)(152KB) : 農薬工業会HP農薬情報局参考)

 ・殺菌剤 (殺菌剤(FRAC) (PDFファイル)(178KB) : 農薬工業会HP農薬情報局参考)

 ・除草剤(HRAC)外部リンク (農薬工業会(https://www.jcpa.or.jp/)のホームページに移動します。リンク先のExcelファイルを参考にしてください。)

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